2208

■8月

脳のキャパシティがいっぱいいっぱいで、思い出になるはずのことも思い出になる余裕がないまま、記憶の片隅に追いやられてしまう。目の前のことに心を砕いているうちに、気がつくとSMTOWNの配信日だった。スウォン公演は汗をびっしりかきながらWayVを見届けたあとは夕食の準備をしながら流し見、その1週間後の東京公演は腰を据えて視聴。次から次にいい曲が流れるのを「祭りだな〜〜〜」と楽しく観た。そろそろ一緒に楽しめる仲間がほしい。

カイさんの「Peaches」、一曲に数度あれば名演となりうる奇跡の瞬間が毎秒あるようなステージだった。これがかのEXOのメインダンサー……と感激した。SHINeeとEXOのみなさま、舞台上に一人でも見飽きないステージばかりで底力をまじまじと感じる。


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わたしの中ではこれまでのように新しい音楽と刺激を探す過程でK-POPにたどり着いただけなのだが、周りからは突然変異でも起こったかのような反応を受けることがある。SF映画イースターエッグと音楽が好きな人間(わたし)なんて、NCTのコンセプトと、それを示した「NCTmentary」の映像のこと、好きに決まっているのに!


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2206-2207 NEO CITY : JAPAN - THE LINK

■6月末

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NCT 127「NEO CITY : JAPAN - THE LINK」の京セラドーム公演に行く。律儀にコーディネートにグループカラーの黄緑(厳密にはネオングリーン)を入れてみたりした。

NCTを好きになったことではじめて覚えた感覚が、「人間の身体の自由さ」。「あらゆる関節がどうなっているのかわからん」と思わされたダンスはもちろん、歌うにしても、「歌は身体から発せられている」という当たり前のことを強く意識するようになった。これまでずっと見て聞いてきた音楽にはじめて「身体」というベクトルが加わったのが新鮮。(こう言葉にしてみると、テンさん・ヘチャンに惹かれた理由がよくわかる。以下はテンさんのいちばん好きなレコーディングのビハインド)


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東京ドームの中継を見ていたのでセットリストは既知のものでも、生の情報量は圧倒的。わかっていても気持ちよく驚き、体が動く。3時間の公演で、セットリストもVCRもすでに知っているのに飽きない構成力と、楽曲のよさと、生の身体のすごさ。

アイドルのライブは中学生以来なことに加えて、一人だし、様子見のような気持ちもあったはずが、気がつくとうちわをブンブン振って半踊りで楽しんでいた。ソウルでは披露していた「Simon Says」を聞きたかった気持ちはあれど、差し代わった日本語曲はどれもよく、「First Love」はパフォーマンスも含めて抜群だった。ヘチャンの肩の力の抜けたかっこよさを存分に堪能した。


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(テイルさんとマーク、めちゃくちゃうまい、空気が変わる…ジョンウの声も特別だ)

演出も含めて、「音楽を表現する」ことに力が注がれていて、歌って踊る姿を見れば全部わかる(という気にさせてくれた)。それができるパフォーマンス力に感服。ジョンウの長い手足が思いっきり動く様子、ドヨンのとてつもないロングトーン、ジェヒョンの歌声の豊かさは想像以上。テイルさんの歌声は広いドームのすみずみまで、同じ強度で届いていると思わされる力があった。ヘチャンのパフォーマンスはいつも音楽が見えるようで最高。音楽が流れれば、そこはいつでもヘチャンの舞台。マークの、とくにソロでの表現は、「音楽ならば、」という音楽への信頼や願いが見える気がする。彼らにとって踊ること・歌うことが楽しいことであるかぎりは、たくさんステージが見られると嬉しい。「音楽がしたい」と思うかぎりは、できるだけ楽しく、それができる環境であってほしいと願う。

脳みそ直結! みたいな感想も山ほどある。スクリーンにその日はじめて、VCRではないその日の顔が映った瞬間の驚き(きれいすぎて笑う)、絶対にまた体験したい。

凱旋公演であるユウタのための言葉を選ぶ姿をはじめ、ジャニさんの心配りにたくさんふれられたのもよかった。年齢、国籍、第一言語、性格の異なる人たちが、それぞれの違いを慮りながら、それぞれに関係を築いているのを見ると、人と人とのコミュニケーションっていいものだな、と思わせられる。最近めっきり人に会う機会がなくなったからなおさら。横一列に並ぶゴンドラに乗って歌われるエンディングの「Promise You」、いつもはテヨンが乗るセンターのゴンドラにはユウタが乗っていた。たまたま曲の途中、ゴンドラの前で誰がが話している姿が目に止まった。見たことだけから察するに、センターのゴンドラにユウタが乗ると決まったのはその瞬間であったように見えた。リーダーとして、友だちとして、隣にいる人の歩みを尊重したテヨンのふるまいに、やはりまた人と人とが関係を築く尊さを見て、胸がいっぱいになった。左右から閉まってゆくスクリーンがいよいよ閉じる直前のユウタのとびっきりの笑顔は、そうした歩み、人と人との関係のすべてを肯定しているようで、特別な輝きだった。見られてよかった。


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(ジャニさん良…)

■7月中旬

余韻に浸っていたら、いつの間にか1か月が経とうとしている。

リコリス・ピザ』を見る。『パンチドランク・ラブ』がめちゃくちゃ好きで、その気持ちよさや感動を思い出した。最後までワクワクしながら見た。いろいろな感情が不器用な「動き」として発散されていた。カメラもずっと動いていて、「映画を見ている!」という気分に浸った。

いまの楽しみは、今月末にNCT DREAM「THE DREAM SHOW 2」がオンラインで見られること!

2205 - 2206

■5月末

NCT 127の東京ドーム公演の配信を見る。配信でこれだけ食らっているのに、1か月後のわたしははたして……。一人だし、開演までどうして過ごそうかなーと想像を巡らす毎日。

この曲がすごく好きなので、セットリスト入りをしていてうれしい。


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NCTに触手を伸ばすきっかけになったヘチャンの歌声はもちろんのこと、配信で見ていても歌がうますぎるというか、歌力(ぢから)が強すぎたテイルさんの歌を聞けるのがめちゃくちゃ楽しみ。マークは一挙一動、センスを感じるふるまいがかっこよくて見逃したくない。うちわを持つ手が足りない。

感動が冷めぬ間にNCT DREAMのカムバック。わたし自身の音楽への執着がしだいに減っているのか、ただ疲れているからなのか、音楽で心の動くことが減ってしまって落ち込むこともあるのだが、ドリムが音楽についてこんな風に歌ってくれるなら、こんな音楽を届けてくれるなら、まだまだ音楽を好きでいられそうだと思う。あらためて『Glitch Mode』にも収録されている「Better than Gold」や「Drive」を聴き、そのいい曲度合いに打たれる。


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祈ることしかできないが、みなさん心身ともに健康でいてほしい。


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昨年のアルバムの収録曲になるが、「Life Is Still Going On」。ここで歌われるようなことを、わたしは若いときにいろいろな音楽に教えてもらってやってきたように思う。いま10代なら、あのとき大事にしていた音楽の中にNCT DREAMも並んでいたのだろうと想像する。

2201 - 2204

■1月後半

WayV テンさんが過去にストーリーなどで流していた音楽を集めたプレイリストを眺めていると、Daniel Johnston「Some Things Last A Long Time」の文字が飛び込んできた。ソースをたどるべく怒涛の検索ののち、発見。🙏 

Daniel Johnstonのオール・タイム・フェイバリット級に好きなアルバム、『Is And Always Was』のことを思い出す。はじめて聞いたダニエル・ジョンストン。サブスクにはなく、HDDからデータを探す。大阪の日本橋にあった(つい今月、過去形になってしまった)K2レコードの「シンガーソングライター」みたいなコーナーから引っ張りだしたように記憶している。自分の好きなものがまだまだ明確でない学生時代に、誰の影響を受けたわけでもなく、探して聞いて、好きだと思えた特別なアルバム。

しかし、K2レコードがなければ出会わなかった音源がたくさんある。シャムキャッツ とのファーストコンタクトもここだった。ネオ・アコースティックやサラ・レコーズのバンドを聞くのはもうすこし遅れていただろうし、廃盤のBOaTはいまも聞けていないかもしれない。ブルックリン周辺のUSインディーを当時の盛り上がりとほぼ同時期に聞けたのも大きかった(CDを次々に買えるほどのお金はなかったし……)。

■2月前半

心霊映画、心霊ドキュメンタリーをたくさん見た期間だった。古い新聞や古いビデオが出てくると、胸が高まる。見終わるとお風呂に行けなくなるが、次の日には忘れている自分の脳がありがたい。今のところ、恐怖でいえば、どの心霊ものよりも数年前に見た『クリーピー 偽りの隣人』を引きずっている。

■4月

ここまで書いて保存したまま、気がつけば春。NCT DREAMがカムバックし、INIのカムバックが近づき、『二十五、二十一』が終わりを迎えてしまった。『二十五、二十一』を見終わったあと、お風呂に入っていてふと浮かんできたのは「GIRL AT THE BUS STOP」だった。「アンニョン、ナヒド/アンニョン、ペクイジン」はこの曲の最後に歌われる「またね/またね」だと思うに至る。過去の記憶や感情が現在に作用して、人を動かす。動いた結果に起こることではなく、動かされたという動作そのもの、そのさまに惹かれる。

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0101-0116

■1月はじめ

地元は年末から雪が降り続き、大晦日には60cmの積雪。冬と雪というと思い出す曲はThe Apples in Stereoの「Winter Must Be Cold」。雪の降る町に生まれたからこそ、愛着の持てる曲はいろいろある。

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「SM TOWN LIVE」を見る。2021年のRed Velvet、JOYの曲がとても好きで、流れてくると気分が乗り、素直に「いい年明けだ」という気分になった。いちばん好きなテンさんの出演はなかった──そう、長いアイドル履修期間を終え、ついにいちばんの誕生である。どのアイドルが気になっても写真の保存はほぼしてこなかったのに、いつの間にか画像フォルダがテンさんで埋まっていた。去年「Paint Me Naked」のタギングの文字の載ったジャケットを見たときには、まさかこの人があんなにかわいらしく笑う人なのだとは想像もしていなかった。「Paint Me Naked」、いい曲だし、スタイリングもいいし、見ていてうれしい。本人が以下で語っている通りのポイントが、この曲をより魅力的にしている決め手な気がする。

I do a lot of like, you know, hard choreography just like trying to be cool, doing like the sexy face and stuff. But this time it’s just like just being silly on the set, just like getting my tongue out. 

WayV's TEN Asks JUNNY What He *Really* Thinks of His Music | Get Real S2 Ep. #3 Highlight - YouTube

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眉唾だが、MBTIはわたしと同じ「提唱者」とのことで、孤独な毎日にささやかな仲間を見つけたような気持ち。

 

■1月上旬-中旬

寒い日が続いたのと、仕事始めの疲れが心体に響く。週末は『スパイダーマン:No Way Home』をIMAXで見る。エンディング前のラスト・シークエンスの質感が好きだった。やっぱり、ちょっと寂しくて、そのなかで人間の決意や意思が見える瞬間が大好きだ。過去2作のラモーンズにもぶち上げられてきたが、デ・ラ・ソウルも最高。

Christian Lee Hutsonの新曲が染み入るようによく、前作『Begginers』をよく聞いている。前作もPhoebe Bridgersのプロデュースで、その周辺の人たちがこぞって参加しているとのこと。リリース時は流すように聞いてしまったが、あらためて腰を落ち着けて聞くと、一曲一曲、どれもいい感じ。リリースのそのときに聞いてこそおもしろく、新しさにやられる体験は刺激的で大好きだが、いつ聞いてもいいだろうな、と思える音楽の大切さはほかには代えられない。ちゃんと一人になれる音楽。

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寝る前に、WayVのコンテンツを見あさっている。ダンスはみんな圧巻で刺激的だった。あらゆる関節の動きがどうなっているのかわからない。見るたびに焦りを感じるのが、NCT勢の語学力……。韓国のコンテンツでは韓国語でコミュニケーションをとっている感じだが、母国語でないメンバーも多いという。テンさん、もともとタイ語と英語の話者で、おそらく後学で韓国語を習得し、そのあと中国で展開するグループとして中国語を話すことになるなんて、聞くだけで目が回りそうな……。甘えてないで、英語の勉強を続けようとお尻に火がついた。

1212-1227

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■12月12日

ゆっくりと起きて、美容院のために布団から出て準備。美容院までの道をNCT DREAMを聞きながら歩く。『Hello Future』はいいアルバム! 「リパケ」の概念、最初はめちゃくちゃ戸惑った。今年最後の美容院。どの友人よりも美容師さんに会う回数のほうが多い。シャンプーをされながら、ストレスが薄れてゆくのを感じる。

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■12月13日

月曜日で気分はよくないが、整った髪を見て落ち着きを得る。韓国のアイドルを見すぎて、目の下のアイシャドウがどんどんと濃くなっていく。どちらかというと、男性アイドル(ナムジャドルという言葉はまだ口に馴染んでおらず、発するのに躊躇する)の陰影感の真似がしたい。目の周囲をぐるりと囲い、目尻側にくの字の濃いアイシャドウを入れる。

ほうっておくと指が「Universe (Let's Play Ball)」を再生している。フィジカルでほしいのだが、形態が多くて戸惑う。封入カードが21種中1種ランダムというのも、えげつないが、楽しそうで惹かれる。

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■12月第2週

ザ・ビートルズ:Get Back』を見るべく、Disney+に登録。『Get Back』はゆっくり集中できるときに見ようと思い、『ワンダヴィジョン』を見はじめた。MARVELは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』から追いはじめた「ゆる追い」だが、シットコム風と聞いて気になっていた。ジャンルムービーはたまらなく好き。1話30分なので、一気に見終わり、そのまま『ホークアイ』に。

■12月19日

『TEENAGE SUPERSTARS』を観に大阪まで。九条で降りなければならないのに、てっきり西九条だと思いこみ、慌てふためく。息を切らして、ぎりぎりに駆け込む。映画の冒頭「音楽(music)、姿勢(attitude)、DIY精神(doing it yourself)についてのフィルム」とあり、「そう、ほんまにそれなんよ」と思う。同じような音楽でも「好き」と「そんなにはまらない」があることの理由を考えていくと、スタンスとDIY、カウンター精神のような感覚に行き着くことが多い。

映画では好きな曲ばかりがたくさん流れるのだけれど、TEENAGE FANCLUBの楽曲が流れるたびに強度にやられて泣けてしまう。「The Concept」が流れると、見たことのない景色が目の前に広がるような、知らないはずのグラスゴーの街の匂いが飛び込んでくるような気持ちになる。ギターのフィードバックを背に、ノーマン・ブレイクが歌い出した瞬間に、目の前の景色がぱちっと切り替わり、自分を取り巻く空気が変わる。そんな曲にはそうそう出会えるものじゃないから、わたしにとって特別中の特別。

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最近レコードで手に入れたばかりのThe Pastels「Heavens Above!」が印象的に使われていたのもうれしかった。スティーブン・パステルのブレなさは、最初からずっとかっこよかった。The Jesus and Mary Chainの音の響きも特別だった。こうして時系列で見ていると、時代が変わったことをなによりもその響きが説明している気がした。好きな音楽のドキュメンタリーを見ると、だいたいサーストン・ムーアが出ている気がする。

◾️12月第3週

ナンバーガールの配信ライブを見る。音響よし。11月末に見たライブでの「I don't know」の音のデカさを思い出して笑う。序盤からすでにデカいのに、中盤さらにブーストがかかるのが過剰すぎて本当に好き。「衝動/4トラックに流し込んで酩酊する俺」の歌詞のかっこよさに痺れる。これだけ好きで、十数年ずっと聞いてきて、友人ともやまほど語ってきたバンドなのに、いまだに噛めば味がすることがうれしい。

今年の猛烈に憧れたスタイルは、NCT 127「Sticker」のSticky ver.だな、と結論。リブランディングしたスワロフスキーのアクセサリーが、メンバーの首や腕や耳や指でギラギラしているのが最高だった。衣装はほぼラフ・シモンズとのこと。ヘチャン氏の白いTシャツと紫色のモッズコートをそのまま真似したい。

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なぜか、個人的に毎年、「今年はこれ!」という憧れがあり、2019年は、髪がなくなり、眼鏡をかけたDIIVのザカリー・コール・スミス、2020年は『Twin Peaks: The Return』(2017年)のエンディングで歌っていたSharon Van Ettenだった。

2021-1211

■2021年のこと

ドーピングのようにK-POPを聞いていた。元気がない日のブーストのようなイメージ。NCTの世界観、過剰でいい。あの衣装とメイクが日常の世界で生きたいのですが……という気持ちになる。その流れで、『PRODUCE 101 Japan Season2』を見始めてしまい、ワンピックのデビューにともないINIをチェックする毎日。フェンファンさんを応援しています。

■12月11日

宅配便のチャイムで目が覚める。通勤用の新しいカバンが届いた。前のかばんは、仕事の移動時に自転車の前かごに載せたり、仕事の荷物が多いせいでトイレでは床に置かれたり、ガシガシと酷使しており、色は剥がれボロボロ。その姿に突然苛立ちを覚えてしまい、仕事そっちのけでショッピングサイトをまわった。どうせまたボロボロになるから、そこそこ安くて、だけどシルエットが悪くないものを。こういう突然の苛立ちがときどき起こる。会社の空気に苛立ってアロマミストを買ったり、通勤コートの毛玉に苛立ってコートを買ったり、デスクの収納に苛立ってトレイを買ったりしてきた。これで本当に自分が苛立っていることは解決しないと分かっているけど、買わずにはいられない。

いろいろと考えていると頭が疲れてきてしまい、スマートフォンシムシティに励む。そういえばパソコン版のシムシティは自由度が高いぶんかなり難しくて、住民からの文句が相次ぎ、キィーッとなって放り投げてしまったのだった。

なにを聞いても感動しないときは、心の底から好きな音楽だけを聞く。今日はNeutral Milk Hotelを聞いた。気を取り直して、寝るまでがんばろう。

「MAMA2021」を見ていたら、『賢い医師生活』のチョ・ジョンソクがプレゼンターとして出てきて喜んだ。『賢い医師生活』は今年触れたもののなかでもかなりの充実度だった。ご飯を食べたくなるいいドラマだった。行者ニンニクをサムギョプサルに巻いて食べたい。

2020年の音楽のこと

2020年の22曲。どの曲も流れ出すと「世界一好き!」と叫びたくなってしまう。焦点が定まらないままでも、目を伏せていても、白目を剥きながらでも、どこかを、誰かを見つめようと視線を投げかけるようなイメージを覚える曲。全部の曲がそうではないけれど、個人的にはそういう気持ちの一年、というか、ここ数年だったのかもしれんなと思う。曲順はなんとなく流して聞いていい感じになるよう並べた。コメントはもうちょっとかんばりたい……。

 

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Kevin Krauter - Surprise
大好きKevin Krauter! リリースは前作同様Bayonet Records。AORの雰囲気のあった前作で発揮されたメロディーの気持ちよさはそのまま、より空間の埋められたドリーミーな音像。その方向性が突き抜けた最高の一曲。これほど鮮やかなのに、肩の力が抜けるような心地よさ。

 

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TOMORROW X TOGETHER - Ghosting
日韓のアイドルの名前を100人ほど、一挙に覚えた一年。アイドルの曲を流し聞いていたときに、あまりに耳馴染みのあるビートとギターの音が流れてきて驚いた曲。

 

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Mura Masa, Ellie Rowsell, Wolf Alice - Teenage Headache Dreams
アルバムを通して、息苦しさに惹かれた。「I need help」がずっと音で表現されている気がする。さらに息苦しい「No Hope Generation」、デジタルな歪んだビートの曲が続く中で際立つアコースティック風味な「Today (feat. Tirzah)」も好き。

 

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Soccer Mommy - yellow is the color of her eyes
歌だけでもいい曲なのに、凝った音作りでさらに楽曲が彩られている。歌が終わったあとに続くギターが、歌の切ない雰囲気を持続させているのがとてもいい。

 

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Beachtape - Somewhere Better
抗えないほどに、大好きなオルタナティブ/ローファイ・ロックバンドの音がイングランドのブライトンから。ギターの音も思わず「わかる」って膝を打ちたくなる感じで好き。憧れの音がすべて鳴っている。

 

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Wyatt Smith- Doubt
アコースティック・ギターストロークとともに歌われる、ため息まじりの歌はずっと好き。こういう長くどこまでものびるような音のギターソロが大好きで仕方ない。

 

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Vacations - Time Crisis
問答無用のドリーミー・ギター・ポップ。展開も気持ちいい。

 

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Devon Williams - Out of Time
粒立ったネオ・アコースティック風味のギターと歌。(YouTubeになかったので、謎なアルバムのティーザー)

 

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Hause Plants - City Vocabulary
毎年一組ほどいる、「誰なんや」枠。Spotifyのレコメンドで月間再生数100単位のめっちゃいい曲が流れてくるやつ。これはイントロで嬉しくなる、ローファイ・インディー・ポップ。ポルトガルリスボンのバンドとのこと。

 

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Choir Boy - Toxic Eye
ニューウェイブ的な印象に、ハーモニーというか、ちょっと間の抜けたコーラスがのるのが新鮮。ジャケットやMVのゴスの雰囲気はとても気分な感じ。

 

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The Avalanches ft. MGMT, Johnny Marr - The Divine Chord
「相手の顔は知らないし、いないかもしれないが、とにかくなにかを残そう、伝えようと投げかける系」を感じると好きになってしまう。新作はその癖にぴったりとはまった。12月発売でまだ全体を聞き込めていないけれど、とりあえずロマンティックなこの曲を。ビートがずっと反復しつづけていて、気持ちいい。

 

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Peel Dream Magazine - Emotional Devotion Creator
裏で鳴りつづける「ピーッ」という音と、くり返す単語の執拗さがくせになる。

 

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Yumi Zouma - Southwark
安定していい。Mura Masaナンバーガール、それからYumi Zoumaも出るし、今年こそフジロックに行こうと思っていたけどなくなってしまった。

 

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Pale Beach - Deadbeat
Morningwhimとしても活動する、名古屋のソングライターによるソロプロジェクト。若い人のインディー・ポップ・バンドはそれだけでうれしかったりもする。

 

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Public Library Commute - Summertime
気持ちよくて夏から半年間、よく聞いた。ゆったりと穏やか。音は今っぽいからかっこいい。

 

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Fenne Lily - I, Niezche
吐息とともに吐き出される歌声。アメリカン・フォーク的な印象を受けたりもしたけれど、拠点はイギリスのブリストルとのこと。曲によっては、オルタナティブ・ロック感も強くていい。

 

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Happyness - title track
ずっと期待していたけれど、1曲目から最高だった。泣きのギターソロ。アルバム全体もいい意味でガチャガチャしていて、90年代のオルタナティブ・ロック・バンドのアルバムっぽさを感じてうれしかった。

 

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Ratboys - I Go Out at Night
爽快。ビデオもいい!

 

RYUTist - ナイスポーズ
4人のメンバーによって、いろいろな表情で歌われる柴田聡子節。景色が浮かぶ歌詞もちょうちょう最高。

 

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Dent May - Sea Salt & Caramel
めちゃくちゃいいポップスだ。音も優しくて好き。

 

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Ethan Gruska - Enough for Now (feat. Phoebe Bridgers)
最後はこの曲にしたかった。この曲があれば少しは前を向ける。

秋まっただなかのこと

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飾るレコードも秋仕様に。秋や冬になると、聞きたくなる英国のインディ・ポップたち。

似合わないと思いながら着続けている茶色のコートを今年の冬こそ買いかえたいと思いながら、コートの予算の数分の一もする香水を購入してしまう。Pixiesの曲名を冠した、D.S. & DURGAの「Debaser」。ナンバーガールの「Wave of Mutilation」のカバーの影響で中高生のころに聴いた『Doolittle』にはとりつく島が一つもなく、なに一つわからなかった記憶がある。それが今となれば、「すんごいポップだ! とりつく島しかない!」と思えるのだから、年の功はあなどれない。数年ぶりに聞いて、音楽の聞こえ方が変わるのは新鮮で楽しい体験で、飽きずに音楽ばかり聞き続ける醍醐味。最近はコピーまでして、あれだけ聞いたはずのフィッシュマンズがヤバくて最高だった。

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そろそろ年末。今年は日韓のアイドルの名前を100人くらい覚えた気がする。踏み入れた場所、すべてにはまり散らかしてしまい、「推し・担当」どころか、「推しグループ」すら増えていく一方。(でも、この「推し」って言葉がなかなかしっくりこない…。自分にとって借りものの言葉な感じがして)

休日にアイドルソングを流し聞いていると、流れてきたTOMORROW X TOGETHER「Ghosting」 がインディ的なドリームポップで目が覚めた。夜から夜明けにかけて、部屋や車の窓を開けて冷たい空気を吸い込むときの音楽。ビート、ギターの音とフレーズ、コーラスなど、馴染みのある音楽の趣向が満載。

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7月と8月の蒸し暑い日のこと

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やれるときに行動しておかないと、という思いから部屋に花をいけはじめた。部屋のあっち側に目をやれば、部屋ぼしの洗濯物がだらしない。レコードは最近レコード屋に行って見つけた大好きなアルバム、テレヴァぺ『永』。

7月、toddleの配信ライブを見る。ドラムレス編成で、コードのアンサンブルがくっきりと聞こえてくるのが印象的。めちゃくちゃきれいでゆたかな響き。全員すごい、ほんとうにいいバンド。toddleの音が醸しだすアメリカのにおい、いつでもうれしくて、ずっと憧れている。3人でずっとずっとステージに立って、演奏が続いていることもとてもかっこいい。

8月、仕事で大ポカをやらかす。ぐったりと落ち込んでしまう。そうした気分はシューゲイズのざらつきに限る。Fleeting Joys、DIIV、Westkust、最後はDeafheavenを聞く。身体の隙間が音で埋められていく感覚に心が落ち着く。「シューゲイズの効能」。以下は2019年マイ・ベスト・シューゲイズ・ソング。

 

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そんなこんなで、8月はゴミを分別する元気もなく、まともに音楽を聞く元気もなかった。SpotifyのDaily Mixのなかでも、インディ・ポップがまとめられたプレイリストが、雨のよく降る気弱な毎日にぴったりだった。The Softiesのため息まじりみたいな歌声が最高。このあたりの音楽にいちばん愛着をもっている気がする。Blueboyもぴったり。プレイリストに入り込んでいたDeerhunter『Why Hasn't Everything Already Disappeared?』がちょうどいま聞きたい音楽の質感。音もいいし、古くて新しくて、なんとなくステージが一つ高く感激する。